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【開発小話】Xシリーズピックアップ100種類の製作チャレンジ【X100】

【開発小話】Xシリーズピックアップ100種類の製作チャレンジ【X100】

ねこだまり工房株式会社で行う事にしたちょっとした企画『X100』チャレンジについて

ふとした疑問 ピックアップの種類ってどのくらいあるの?

ねこだまり工房がピックアップを作り始めてふと思う疑問があります。

「そういえばピックアップって何種類くらいあるんだろう?」

リサーチを行うと、面白い傾向が見受けられました。『メーカー』『ブランド』の違いという点を除くと、実はそこまで種類が多くない印象を受けます。

例えばで、ちょっと計算してみたいのですが、STタイプのシングルコイルを制作する場合に決める要素を分解してみます。

大まかに分けてしまうとこんな感じのイメージでしょうか。

『バルカナイズドファイバーホビン』×『マグネットの種類』×『銅線の種類』×『巻き方』×『構造』=製作できる可能性の数

ここから考えてみますと、ビンテージテイストのSTピックアップは、ほぼバルカナイズドファイバーです。安価なエントリーモデル等には樹脂ホビンもありますが、ここは1種類とさせていただきますね。

マグネットの種類としては、大まかに分類すると『アルニコ2』『アルニコ3』『アルニコ4』『アルニコ5』『アルニコ8』『セラミック』と6種類になりますね。

銅線の種類としては、ビンテージテイストに使用される線径はほぼAWG42で、プレーンエナメル等でしょうか。色々あるのですが、ざっくり3種類と仮定します。

巻き方の種類には、機械巻きと手巻きが大まかな分類になるので、2種類に。

構造で色々あるところですが、『普通』『アクティブ』『スタック』等を分類したとして3種類としましょう。

さて、計算してみると、1*6*3*2*3=108通りとなります。

多いと感じましたか?

ねこだまり工房としては、「少ない…?」と感じています。

実際には、「巻き方を変えています!」「巻き数が違います!」などの違いを加えていく事になるとは思うのでもう少し増える事もあると思うのですが、気になるのは可能性の幅が108通りしかない事ですね。

108種類全て製品となる事は現実的にはないと思いますが、この108種類の中から、人気のスペック・性能の優れるスペックを選んでいく作業になります。

108種類から選ばれたスペックとなると、エレキギターが生まれて50年の間に開拓され尽くしていると考えるのが自然だと思いますし、『メーカー』『ブランド』の違いを除いてしまった時に、似たようなピックアップになってしまうのではないでしょうか。

ねこだまり工房の考える可能性の幅

先ほど108通りが少ない…と記載したのですが、その理由について書いていきますね。

単純な話なのですが、前述の様な簡易計算をする前に、ねこだまり工房として考えられる種類を計算したことがありまして、余裕で10万種類を超え、カラーリングや僅かな差も計算に入れてしまうと数億種類に分類出来てしまう結果になりました。

さすがに10万種類記載したブログは書きたくないので、前述のSTタイプの計算に当てはめて、ねこだまり工房の計算式に変換していきますね。

まず構成式の種類を増やす事ができます。

『ホビン素材』×『構造』×『マグネットの種類』×『銅線の線径』×『銅線の種類』×『特殊細工』×『リード線』×『ポッティング処理』×『巻き方』×『カラー』=ねこだまり工房の考える可能性の幅

増えている時点でお察しの通り、種類が膨大に増えていきます。先ほどの情報に合わせてざっくり計算していきましょう。

まず、ホビン素材について。

先ほども記載しましたが、市販のものはほぼバルカナイズドファイバーですので、1種類としています。

ねこだまり工房として利用できそうな素材の組み合わせが幾つかありまして、バルカナイズドファイバー、樹脂ホビン何種類か、特殊素材…と詳しくは置いておいてざっくり5種類としましょう。

構造は、前述の計算に合わせて3種類。マグネットも増やせてしまうのですが、計算を合わせる為に、6種類にしましょう。

銅線を細分化していますので、線径の種類を別項目にしています。実用性のある範囲で使える組み合わせは、6種類あります。

銅線の種類なのですが、色々ありますがここはねこだまり工房で使った事のある種類に限定して、5種類とさせていただきます。

特殊細工については、色々工夫できる余地がありますが、あまり細分化をせずに、3種類としましょう。アース加工などをイメージしてください。

リード線についても、一般的にはクロスワイヤーになる事がほとんどですが、遊び心を加える余地として控えめに3種類としましょう。

ねこだまり工房で模索しているポッティング処理についても、種類がかなり増やせてしまうのですが、控えめに5種類と設定します。

巻き方は、機械巻きで1種類としましょう。

カラーについてはお好きな数を入れていただくとして、『音に変化のある要素』という視点で、種類数を控えめに計算する計算式が完成します。

さて、計算していきましょう。

5*3*6*6*5*3*3*5*1*n=121,500通り

余裕で10万通りを超えていきましたね。

ちなみにここに、ピックアップの種類として例えばTL・JBなどを4種類加えてみると、121,500通り*4=486,000通り

カラー等の要素を加えて5色展開してみましょうか。486,000通り*5=2,430,000通り

100万種類を突破してしまいました。あくまでも控えめな計算方法なので、新しい素材や加工方法が見つかったり、改良を重ねていけば数億通りにはできるでしょう。

さて、前述の108種類の中から「良いもの」を見つける可能性の幅は狭い印象を持っていると記載しましたが、ねこだまり工房の考えとしては、10万通りの中から「良いもの」を見つけなければいけません。

大変なのですが、良く捉えれば、既存の固定概念の幅を飛び越えてピックアップを作れる余地があるとも言い換えができます。

そこで、ちょっとした遊び心を添えつつ、こんな企画を考えてみました。

Xシリーズ ピックアップ100種類製作チャレンジ【X100】

仮題として『X100』と呼ぶ事にして、ざっくり言えば試作品を100種類作ってみようという企画です。

Xシリーズについては以前の記事を。要約すると、製品化前のピックアップは一律でXシリーズと分類しちゃいますねって記事です。

【開発小話】Xシリーズについて – ねこだまり工房直営オンラインストア (nekodamari.work)

追々製品を色々増やしていきたいのですが、製品化の為には在庫用の資材ストックや諸々の手続きが必要になりますので短期間でたくさん作るのは現実的ではありません。

試作品としてワンオフ(1点もの)で作ってしまえば負担が軽いので「それならいっそ、100種類作ってしまえ」という企画になります。

 X100の企画概要

ねこだまり工房で制作するピックアップの試作品(通称:Xシリーズ)を100種類製作します。

企画のポイント① 購入できる試作品

#001~#100までナンバリングを行い、他社への提供・研究目的での保管品以外は全て当サイト(ねこだまり工房直営オンラインストア)にて販売を行います。

企画のポイント② 割安価格の設定

価格は、正規販売想定金額から割安になる様に設定します。概ね20%~30%オフをイメージください。(例:30,000円⇒24,000円・21,000円)

企画のポイント③ 100種類の製作事例の公開

また、各ナンバリングごとに仕様・製作方法を記載した【製作事例】記事を作成します。販売を行わない場合も記事は作成しますので、お時間のある際にご覧いただければ幸いです。

企画の縛り条件

前述の様に、簡易計算でも数万通り作れてしまいますので、あえて縛り条件を付けていこうかと思います。巻き数だけ変えた100種類とかだと面白みもないので…。

・水増しスペックの禁止

例えばですが、「巻き数を10ずつ変えて10個作って10セットです!」というのは面白くもないのでやりません。

・ルックスで違いが確認できること

例えばですが、「アルニコ2とアルニコ5です!」「巻き線の太さが違います!」など目に見えない要素の違いは最小限にした上で製作します。

客観的に違いの認識できるものという点で、ルックスに違いのあるものを重点的に製作していく予定です。

・パターン制作を控えること

なるべく仕様が重ならない様に製作します。近しい仕様を制作する場合は、外観や機能面に違いを加えられる様に工夫します。

・製作の焦点を、『素材』『構造』『特殊細工』に置く事

巻き数や巻き方の違いよりも、目新しい素材や構造・細工で面白みあるものを作ることに焦点を置いていきます。

・サウンド設計は挑戦しすぎない

検証中の素材なども含むため、サウンド傾向は予測ができる王道路線のものを多くする予定です。遊び心を入れすぎて、例えばですが「抵抗値が1k」とか「抵抗値30k」とかの使えるのかよく分からない様なものは作りません。

一般的なピックアップとして理論上使用可能なスペックであり、王道と言える路線の巻き線・抵抗値設計を主体としていきます。

企画の注意事項

・企画の販売品は、原則1点ものとなります。

・試作品に付き、正規販売品と仕様・外観が異なる場合があります。

・製作時のやむを得ない傷等がある場合があります。

・加工ミス等のアウトレット理由が存在する場合があります。その場合は記載の上、若干割引度を高く設定します。また通常使用に問題のあるものは使用しません。

・通常使用において不具合が発生した場合は、正規販売品と同様に無償保証等の対応をさせていただきます。

・原則取付サービスは行っておりませんので、ご自身かお近くのリペア・カスタマイズ工房をご利用ください。

また、お近くにその様なサービスがなく取り付けが困難な場合は、お問い合わせフォームよりご相談ください。本体・またはピックガードの送付で取付作業を行わせていただきます。(送料など追加請求が発生してしまいます。)

・寸法は、一般的なリプレイスメントと同様の寸法で製作していますが、ギター本体の個体・制作時期・メーカーなどによって寸法が異なる場合があります。

念のため、設計寸法を記載しますのでご確認の上お買い求めください。

・掲載ナンバリングと同じ品が欲しいというご依頼の場合、セミオーダー形式で対応できる場合があります。気になるものがあれば、ご相談ください。

・試作品実物のサウンドに関しての測定や解説は、本企画においては行いません。取付本体による個体差によって変化が考えられる事や、検証中の素材などを含む為、設計思想のみをお伝えさせていただきます。ルックスや掲載スペックで「ビビっと」来たものがあればお買い求めください。

まとめ

というわけで、製品化を放り投げて作りたいものを好きな様に作るという遊び心オンリーなゆるーい企画です。

ピックアップに興味がなかった方や、変えた事ない方にとっても、「へー、変なのあるんだ」となる様な面白みのあるものにしつつ、「ST使ってるから…」とご自身の機材と噛み合わない方にも「へー、機会あれば試してみようかな」となる様な記事を公開できればと思うところです。

専門的かつ小難しいのがピックアップかなとは思いますが、ちょっとした面白みになる事を願ってコツコツ進めていきます。販売中製品は、こちらからご確認ください。

【X100】Xシリーズ100種類製作チャレンジ – ねこだまり工房直営オンラインストア (nekodamari.work)

何か製品などで気になる事があれば、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

お問い合わせ – ねこだまり工房直営オンラインストア (nekodamari.work)

ねこだまり工房株式会社

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