Amazonブランド登録の実務記録 ― メーカー視点から見た注意点
ノーブランド品からの復旧と、メーカーが守るべき「商品主権」
ねこだまり工房の製品は、Amazonでも販売されています。
Amazonは消費者にとって非常に便利なショッピングサイトです。
一方で、メーカー・出品者の立場から見ると、ルールや権限構造が複雑で、思わぬ落とし穴も存在します。
ある日、商品ページを確認すると、レビュー数が「333件」になっていました。
2021年5月時点では5件。約3年で約60倍です。
本当にありがたいことです。
しかし、このページを「正しいブランド名」で守るために、私たちは相応の実務対応を行う必要がありました。
本記事では、Amazonブランド登録の実体験と、メーカーとして押さえておくべきポイントをまとめます。
これからAmazonでの販売を検討している方、ブランド登録を後回しにしているメーカー様の参考になれば幸いです。
⇒商品ページhttps://amzn.asia/d/0otTuSl

2021年の5月頃のスクリーンショットを振り返ると、レビュー数は5件です。

Amazonブランド登録とは?メーカーにとっての意味
Amazonブランド登録とは、商標権を基盤としたAmazon公式制度です。
登録を行うことで、
・ブランドストアの開設
・A+コンテンツの利用
・ブランド保護機能の使用
・専用広告機能の利用
などが可能になります。
Amazonは「ブランド」よりも「商品」を主軸とするプラットフォームです。
そのため、通常の商品ページは構成や見せ方が厳密に制限されています。
ブランド登録を行うことで、商品の背景やコンセプトを伝えるスペースが拡張されます。
Amazonを本格的に活用しているメーカーの多くは、この登録を完了させています。
その他にも、商品ページを下にスクロールしていくと見られますが、A+と呼ばれるAmazonブランド後に使える拡張機能を利用登録すると、ヘッダーや大きな画像で説明や紹介を行う事ができるようになります。
さて、ブランド登録を行っていない場合は、入力したテキスト説明が記載されるだけです。情報としては十分伝えられるかもしれませんが、各ユーザーに対して、雰囲気などを伝える手段を使わない理由はありません。
その点が、Amazonをしっかり活用しているところは必ずと言っていいほど使っていると前述した理由になります。 実際、Amazonで好評・レビュー数が多い商品や、ランキングに常駐している商品は8割以上が活用しているかと思います。

Amazonブランド登録の落とし穴①
商標表記と“完全一致”の原則
Amazonブランド登録では、商標登録時の表記と完全一致していなければなりません。
・大文字・小文字
・全角・半角
・ピリオドや記号
すべて別物として扱われます。
ねこだまり工房は、国際商標を「nekodamari.work(全角)」で取得していました。
Amazonで半角「nekodamari.work」で申請したところ、不一致として却下。
同じ文字列に見えても、システム上は別物です。
もし販売開始後にこの不一致が判明した場合、最悪、商標の再取得が必要になる可能性もあります。
発売前、もしくは販売初期段階での整備が重要である理由の一つです。

Amazonブランド登録の落とし穴②
編集権限はメーカーのものとは限らない
Amazonの商品ページには、編集権限の優先順位があります。
イメージとしては:
ブランド登録オーナー
> 最初の出品者
> 販売実績の多い出品者
> その他
ブランド登録を行っていない場合、
・パッケージ変更
・仕様変更
・説明文の修正
ができない可能性があります。
メーカーでありながら、自社商品の情報をコントロールできない。
これは想像以上にリスクのある状態です。

最大の壁:「ノーブランド品」の罠
最も深刻だったのが、当社製品が「ノーブランド品」として登録されていたことです。
ノーブランド品は、理論上Amazonがオーナーとなるカテゴリー。
公式回答は、
・ブランド変更は不可
・削除は可能(=レビュー消失)
のみ。
レビューはお客様が一件一件書いてくださったものです。
簡単に削除する選択はできませんでした。
そこで、
・商標権証明
・JANコード取得日
・発売日との整合性
・第三者による誤登録の証明
を揃え、「本来ブランド品であったこと」を論理的に説明しました。
再現性は保証できませんが、最終的にレビューを維持したままブランド変更に成功しました。
正直に言えば、二度とやりたくないレベルで大変でした。

Amazonテクニカルサポートとの向き合い方
Amazonサポートはケース単位で処理されます。
担当者は都度変わり、判断も一定ではありません。
同じ説明を何度も行い、過去ケースが引き継がれないこともあります。
感情ではなく、
・規約の理解
・証拠資料の準備
・論理的な主張
この3つを粘り強く積み重ねるしかありません。
「めげない」「しょげない」「諦めない」。
結果的にそれが一番の突破口でした。

その結果が、A+コンテンツで当面、ストアページの活用です。 この商品ページには、色々な種類のものが並んでいますが、この設定もブランド名を置かないとできません。
なぜ“発売前対応”が重要なのか
今回の経験から明確になったのは、Amazonブランド登録は「後からやるもの」ではなく
「発売前に整備するもの」だということです。
特に、
・卸販売を行う場合
・小売店が先に登録する可能性がある場合
・流通代理店が関わる場合
後回しにすると、商品主権を取り戻すのが極めて困難になります。
メーカーとしての責任
Amazonは「商品主軸」のプラットフォームです。
レビューや商品ページの表示は、ブランド価値そのものに直結します。
誤情報が掲載された場合、責任は最終的にメーカーにあります。
任せてよい部分と、自社で管理すべき部分。
その線引きの甘さは、私たち自身の反省でもあります。
結び|Amazonブランド登録は“主権”の確立
Amazonブランド登録は単なる機能拡張ではありません。
それは、ブランド主権を確立するための制度です。
商標を取得しているだけでは足りません。
発売前の段階で整備しておくことが、将来のブランド価値を守ります。
これからAmazonでの販売を検討されるメーカー様にとって、本記事が実務上の参考になれば幸いです。
ねこだまり工房株式会社