設計思想|Engineering Philosophy

設計思想

- エンジニアリング哲学 -

ねこだまり工房は、音を偶然の産物として扱いません。

音は、設計されるものです。

- 感想では分からない -

試作機を弾いて評価することは重要です。

しかし、主観的な感想だけでは設計は成立しません。

ピックアップは物理構造体です。

  • 磁束密度
  • インダクタンス
  • 直流抵抗値
  • 分布容量
  • 周波数応答特性
  • 過渡応答

これらの物理特性の集合が、音を形成します。

「良い音」という言葉の裏にある構造を知らなければ、再現性は生まれません。

私たちは、耳と数値の両立を目指します。

- 材質の相互作用としての音 -

音は単一の素材で決まりません。

  • 磁石材質の透磁率
  • コイル線径と被膜特性
  • 巻線テンション
  • ボビンの共振特性
  • ポールピース材の導磁性
  • ベースプレートの渦電流効果
  • ポッティング材の内部損失

それらが空間内で干渉し合い、倍音構成とダイナミクスを決定します。

私たちは、素材同士の「関係性」を設計します。

- 制御されたランダムワインド -

ヴィンテージ機械が持つ微細な揺らぎ。

それは誤差でありながら、音に豊かさを素晴らしい要素でもあります。

ねこだまり工房では、巻線テンションを厳密に管理しながら、機械由来の微小な誤差を活かす制御されたランダムドワインを採用しています。

偶然ではなく、設計された揺らぎ。

- 真空含浸技術の進化 -

受け継いだ真空含浸技術は、日本裏方として長年ピックアップ製造を支えてきたものです。

しかし私たちは、過去の再現にとどまりません。

従来のワックスではなく、自社開発の蜜蝋ワックス由来の素材を用い、内部ダンピング特性を再設計。

ポッティングはハウリング対策ではなく、音響制御工程です。

浸漬深さ、粘度、冷却速度を含みます。

それらを調整することで、サスティン、コンプレッション感、高域の伸びを制御します。

- 測定一定への志向 -

私たちは、感覚だけで満足しません。

将来的には、

  • 周波数解析
  • インパルス応答測定
  • 磁束分布の流動化
  • ダイナミックレンジ評価

いわゆるプロフェッショナルレベルでの検証体制を標準とすることを目指しています。

現状ではとりあえず、基準を下げない。

それが設計者としての責任です。

- これからの50年 -

受け継がれてきた歴史を尊重しながら、進化を続ける。

ヴィンテージを語るのではなく、未来を設計する。

耳と理論。

感性と数値。

その両方を持つことが、ねこだまり工房の基準です。